嫌だ。

 私は死にたくない。

 助けて。

 助けて――。

 その私の思いは声になる前に風呂の湯の中に溶け消え、静寂となった。振り上げた腕は虚しく湯を切るだけだった。私は大きく湯を飲み込んだ。

 ああ、水面がキラキラと輝いている。

 この子も、これを見たのだろうか。

 これを最期に見て、逝ったのだろうか。

 今の、私のように。






  エピソードBDA 「煌く水面」









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