return to start...

 嫌だ。
 私は死にたくない。
 助けて。
 助けて――。
 その私の思いは声になる前に風呂の湯の中に溶け消え、静寂となった。振り上げた腕は虚しく湯を切るだけだった。私は大きく湯を飲み込んだ。
 ああ、水面がキラキラと輝いている。
 この子も、これを見たのだろうか。
 これを最期に見て、逝ったのだろうか。
 今の、私のように。


エピソードBDA
「煌く水面」

return to start...

Copyright(C) 2006 GiNGETSUDO